ページ番号1001030 更新日 2023年12月28日
アルゼンチンアリは狭い隙間でも巧みに通り抜ける習性があるため、しばしば屋内に侵入してきます。屋内に侵入したアルゼンチンアリは、台所などに置いてある食べ物にたかるため、人に対して不快感や恐怖感を与えます。その他、就寝中に、体中をはいずり回ったり、かんだりするため、十分に眠れないなどの被害のほか、地域によっては、侵入してくるアルゼンチンアリが大量であるため、日常生活もままならないといった被害も報告されています。
アルゼンチンアリは、アブラムシやカイガラムシといった農業害虫と共生関係(異なる生物が、互いに緊密な関係を保ちながら生活する関係)を持っています。アブラムシやカイガラムシは、甘い蜜を分泌しており、アルゼンチンアリはこれを非常に好みます。そのため、この甘い蜜を求めて外敵から保護し、これらの個体数を増加させます。結果として、アブラムシやカイガラムシによる農作物への被害が、アルゼンチンアリによって助長されていることになります。ただ、このような共生関係は、アルゼンチンアリに限った話ではなく、他の種類のアリとアブラムシやカイガラムシの間でも見られるようです。
このほか、アルゼンチンアリ自身が、果物、柑橘類、トウモロコシなどの農作物へ直接被害を与えることもあります。
アルゼンチンアリは、本来の生息地以外の場所へ侵入・定着し、物資や人の移動に便乗して分布を拡大する放浪アリと呼ばれる種類のアリです。中でも、侵入・定着した地域で、在来のアリを攻撃して駆逐するため、特に侵略アリと呼ばれています。侵略アリの侵入・定着により、それまで微妙なバランスの上に成り立っていたその地域の生態系はダメージを受けてしまい、さまざまな生物への影響が心配されます。
アルゼンチンアリの侵入による影響については、世界各国からさまざまな例が報告されています。フランスのある地方では、在来のアリは全て駆逐され、アメリカのカリフォルニア州では、それまで27種類いた在来のアリのうち16種類が駆逐されています。アリ以外の生物の例としては、在来のアリを主食とするコーストツノトカゲの個体数が著しく減っている例(アメリカ)や在来のアリに種子散布を依存している植物が他の植物に置き換わっている例(南アフリカ)などが報告されています。
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